ブラジルで効果的なマーケティング・ブランディング・販売戦略について (第二回 ブランディング)
登録日:2013年12月14日前回はブラジルでの効果的なマーケティングについて述べたが、今回はブランディングに関してである。ブラジルのブランディングを語る上で、外資系企業の存在は欠かせない。ここではマクドナルド、スターバックス、サムスン、LGなどエンドユーザーに支持されている外資系企業を例に説明していきたい。
まずマクドナルドだが、ブラジルのマクドナルドの値段は異様に高い。2013年もビッグマック指数はブラジルが最も高い数値を記録しそうだ。ちなみにビッグマックセットは日本の約1.5倍で1,000円近くする。現地の最低給料が678レアル(約33,900円)であることを考えれば、いかに 現地の人からすると高いものかが分かる。しかし、それでも昼食時にマクドナルには長蛇の列が並ぶ。一体、何故なのだろう?
コーヒーの生産量が世界第1位であるブラジルだが、そのコーヒーのメッカの国に、アメリカ発のコーヒーチェーンであるスターバックスが進出した。おおむねの予想を裏切り、2013年7月時点で店舗数を59店舗まで増やし、予想だにしない快進撃を続けている。街角の軽食屋やカフェテリアでは一杯約50〜100円というコーヒーだが、スターバックスのフラペチーノは約600円もする。しかし、それでも店内はにぎわっている。何故だろうか?
またエレクトロニクスで一時代を築いたソニー、パナソニックだが、今では家電、パソコン、携帯電話と言えばサムスン、LGと完全にスイッチが起きてしまった。これにも何か原因があるのだろうか?
前回でも述べたが、国内企業保護策により競争力を失ったブラジル企業と、低下した製品の品質を、基本的に国民は信用していない。加えて個人主張の強い国民性から、ステイタスという面で国外メーカーに憧れる傾向がある。マクドナルドは世界中で愛されているブランドという安心感をブランディングに利用し、スターバックスは「冷たいコーヒーを、デザート感覚で飲む」という新しい感覚を、若い世代のブラジル国民に植え付けた。いずれも海外ブランドへの憧れを逆手に取り、また国民の経済力の上昇がそれを可能にした。
サムスンとLGは、ブラジル市場の大きさを正確に把握し、初期段階から大きく投資することで、政府や自治体から免税・減税というインセンティブを獲得し、商品の価格を下げることに成功。また多額の出資金から得られる多額の銀行金利により大量の広告を投入、テレビCMから雑誌の広告、人気サッカーチームのスポンサードなど、マジョリティー層の好む媒体を上手に使い、ブラジル国民へのアプローチを行った。
国内企業を信用していない、海外ブランドが好き、見た目のデザインにこだわる、ヨーロッパからの影響から実はコンサバティブ、マジョリティーに支持されるTVドラマやサッカーチームを宣伝の媒体として選ぶ、といったように、ブラジル人独自の国民性を理解することが、効果的なブランディングにつながっていく。
プロフィール 倉智隆昌 |
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私も値段が、高くても品質が、良ければ買います。 安物買いわ、銭失ないですから。ek vtec
2014年2月14日
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