ブラジルで効果的なマーケティング・ブランディング・販売戦略について (第三回 販売戦略)
登録日:2014年1月7日これまでにマーケティングとブランディングに関して述べたが、今回は最終回、販売戦略についてである。市場を調査し、どれくらいの規模でどのような性格の消費がその国、地域に存在し、どういったものをいくらで販売していくかの基盤を決めるのがマーケティングの本来の目的であるが、次の段階として、 ブランドに弱いブラジル国民への、開発を含めた商品ブランディングが続き、最後に販売戦略という順序となる。消費力旺盛なブラジル人に対する販売戦略、及び手段は非常に重要な要素を握っているのである。
販売の形態に関しては、いくつかの大きなカテゴリーに分けられる。まずは流通、つまり卸問屋や販売代理店を通じて個人商店や専門店、大型スーパーに販売していく方法。そして販売員を通じた個人宅への訪問販売、会場に人々を集めての講習販売。それから実際に店舗を構えて販売する、直営店(チェーン)展開やフランチャイズ展開。その他にはEC(インターネット販売)やブラジル特有のコンソルシオ販売(日本でいう無尽)などがある。
全てにケースについてメリット、デメリットをここで紹介することは出来ないが、ブラジルで成功しているいくつかのケースについて特筆したい。ブラジルでは各商材(例えば衣類、装飾品、電化製品等)により分かれた形で卸問屋街が点在し、そこに各州、各地域から個人商店を営む店舗バイヤーが買付に訪れる。まずこの形が最も大きなブラジルの販売の形態である。またブラジルは南米特有の格差社会であり、富裕層は生まれた時から死ぬまで富裕層、貧困層は生まれた時から死ぬまで貧困層という世界で、中流階級以下の人々が高額の金銭的収入を得る為の方法として、コミッション制の販売員(外注の個人レップ)が常に挙げられてきた。彼らのような個人レップが卸問屋や個人店、専門店だけでなく、個人宅にも直接訪れて販売をし、企業の売上を増加させてきた。しかし、この方法は雇用条件や契約に注意を払わなければ、後々訴訟となる可能性を孕んでいる。
近年ではフランチャイズとECが隆盛している。フランチャイズに関しては低い投資額で、短期間での事業の拡大が可能で、ブラジルでの悩みの種である雇用訴訟の芽である現場のオペレーションスタッフを直接抱えなくて済むというメリットがある。また消費の激しいブラジル市場で、日用品やアパレル品等の生活必需品が急ピッチで求められる中、スピーディーな店舗拡大が可能なフランチャイズと相性が良く、また都心部を中心に増え続けるショッピングセンターへの出店も拍車をかけ成功のスタイルを築いた。ECは広大なブラジルの地方層からの購入を可能にし、新商品や近況の告知としてうまく活用され、年間約30%の伸び、現在のBtoCの市場規模は約1兆3000億円に近づく勢いである。
ブラジルの市場では品質の低い商品が、日本以上の高額な値段で販売され、しかも実際に売れている。それを可能にしているのは、商品のブランディングと爆発的な消費力と消費意識を逆手に取った販売戦略なのである。
プロフィール 倉智隆昌 |
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品質で勝負です。売ってよし、使ってよし、買ってよし お客様に喜んでもらうことです。ek vtec
2014年2月14日
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