まちでみつけた小さなブラジル ~鶴見~ 1/2

登録日:2014年6月16日

神奈川県横浜市鶴見区には、多くの外国人が暮らしている。最新(2014年3月末)のデータでは、鶴見区の総人口は28万人で、そのうち約3.4%(これは29人に1人の割り合い)にあたる約9500人が外国人である。この9000人のうち約1100人はブラジル人で、これは、中国人、朝鮮・韓国人に次いで鶴見区で外国人の人口の3番目に多い人口を誇っている。(図1)
また、このブラジル人の多さは、横浜市の全体の比率からみても約45%を占める値である。このことからも、鶴見区のブラジル人の構成比は大きいといえる。さらに、ブラジル人の他にも、ペルー、ボリビア、アルゼンチン、パラグアイ、コロンビアなど南米諸国出身の日系人と呼ばれる人々が多く生活している。

 しかし、鶴見になぜブラジル人をはじめとする南米にルーツを持つ人が多いのだろうか。ここからは、ブラジル人が多く住んでいる歴史的な理由、鶴見に住むブラジル人をサポートする仕組み、そしてブラジル人が経営する店舗を紹介していこう。

1.    鶴見の歴史 ~なぜブラジルにルーツを持つ人が多くなったか~
鶴見区の臨海部は京浜工業地帯の一角として、工場などで働く人々の住む町として発展した。1910年代の京浜工業地帯形成期から、京浜工業地帯で仕事をするために、朝鮮半島や沖縄から多くの人々が移動してきた。戦前には、当時の日本の植民地政策の下、朝鮮半島出身者が鶴見に住むようになり、その後も韓国・朝鮮籍を持つ人々が多く暮らしている。
1990年以降、入国管理法が改正され、南米や中国、フィリピンなどのアジア各国からの移住も増え、多様な文化的背景を持つ人々が生活している。入国管理法の改正の内容は、従来1・2世に対してのみ与えられていた在留資格が、日系3世の人にも「定住者」という在留資格が認められることになり、国内における就労制限がなくなったというものである。それにより、日本で職を得やすくなった日系外国人が全国的に多く来日するようになり、大正のころから京浜工業地帯で働く沖縄出身者も多かった鶴見では、沖縄から南米に渡った2世・3世が多く住むようになった。
現在の鶴見は、ブラジル人をはじめ、南米の沖縄コミュニティから鶴見に移り住んだ人が多い。第二次世界大戦後、沖縄では米軍基地建設のため農地が奪われ、琉球政府が策定した移民計画によって1950年代半ばからボリビアへの移民が行われた。しかし、ボリビアでの開拓生活は厳しく、半数以上の人がアルゼンチン、ブラジルなど南米各地へ再移住したといわれている。鶴見には、そうした沖縄から南米諸国を経て移り住んできた日系人の割合が非常に高いのだ。来日当初は、「出稼ぎ」として短期間の就労を目的としていた人もいたが、日本で結婚し、家庭を持ち、家を購入するといった定住傾向が強まっていて、20年以上地域に住み続け、世代を重ねていっているケースも少なくない。

2.    ブラジル人をサポートする仕組み ~NPO法人 ABC Japanの存在~
【ABCジャパンとは】
ABCジャパンは、神奈川県横浜市鶴見区在住のブラジル人によって2000年に設立された団体である。主にブラジル人や南米出身者向けの生活相談や日本語教室、子どもたちのための教育活動、地域における交流活動などを行っている。ブラジル人や南米出身者だけでなく、中国やフィリピンをはじめとしたアジア出身者も受け入れることがあり、その柔軟かつ親身な対応が評価されている。
また、そのネットワークは2009年のNNBJ (在日ブラジル人全国ネットワーク)設立にまで至っており、全国ブラジル人コミュニティ、ブラジル政府、また日系人団体との連携も行っている。

【ABCジャパンの主な活動】
設立から14年、現在も地域のブラジル人、そして南米出身者などの生活に必要不可欠な団体として活躍するABCジャパンだが、その活動はどのようなものなのだろうか。以下に主な活動を示した。
1.情報提供
ポルトガル語表示によるインターネットを媒体とした情報発信を行っている。ここでは行政情報を、主に紙面および映像によって伝達している。
2.相談対応
ポルトガル語を用いた生活相談はもちろん、行政機関等のポルトガル語翻訳・通訳への協力も行っている。
3.教育活動
日本語教室の開室、語学だけでなく、パソコン教室、各種技術取得講座の実施も行っている。また、子どもに対する日本語及び教科支援や、不登校・不就学の対策も行っている。(時には日本人の子どもの不登校・不就学対策を行うこともあるようだ。)
4.交流活動・ネットワーク
NNBJ(在日ブラジル人ネットワーク)事務局として、全国ブラジル人コミュニティ、国内外のブラジル人団体とのネットワークも持っている。また、東日本大震災被災地における在日ブラジル人による支援の計画(炊き出し、音楽活動などによる)もしている。また、地域の小学校と連携し、2007年にはブラジルの祭典「フェスタ・ジュニーナ」の開催、2009年にはブラジル人アーティストによるワークショップ開催が行われた。

【ABCジャパンの最近】
2013年6月よりポルトガル語教室を開講している。それは、2014年のサッカーW杯や、16年のリオデジャネイロ夏季五輪の開催、そして市場の拡大によるブラジル参入企業の増加に伴ったポルトガル語の需要増加が考えられるためだ。楽しくアットホームな環境で、語学のみでなく文化も学べる教室を目指し開講された。

 

まちでみつけた小さなブラジル ~鶴見~ 2/2



明治大学商学部 藤井ゼミ 首都圏で見つけたブラジル F班
 3年: 阿部 高木 西村
 2年: 北見 多賀 箭内 森



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