＜日本人にも好まれるミナス・ジェライスの音楽「ミナス・サウンド」について＞

ブラジルの音楽には日本で人気のあるボサノヴァや、世界中で有名なサンバがありますが、ブラジル内陸部のミナス・ジェライス州の人たちが作 り出す音楽も意外と日本の音楽ファンの中に浸透しています。ミナス・ジェライスの音楽家を代表する世界的なアーティストのミルトン・ナシメントは今までに 4回の来日公演を行なっていますし、ギタリストで作曲家でもあるトニーニョ・オルタは既に20回以上も日本へ来ています。他にもミナス・ジェライス出身の アーティストたちの作品は日本でもなかなか人気です。でもまだその魅力に触れていない方のために今回は「ミナス・サウンド」についてご紹介してみたいと思 います。

なぜミナス地方の音楽が日本人に好まれるのでしょうか？それは美しいメロディーと「浮遊感覚」のある少し複雑なハーモニー、そしてブラジル特有の躍動するリズムが共存しているからではないかと思います。

鉱物資源がきわめて豊富なことからその土地の名前が「ミナス（鉱物資源）ジェライス（一般的な）」となったくらい、様々な鉱物が産出されています が、代表的なところでは鉄鉱石、ボーキサイト（アルミニウムの原料）、さらに金・銀・ダイアモンド・アクアマリンなどの宝石類でも、ミナス・ジェライスは 世界的にその名を馳せています。その資源に目を付けた世界中の男たちが「一攫千金」を夢見てミナスへ渡り、さらにそれを追いかけてヨーロッパからカトリッ クの教会もミナスへ進出したという経緯があります。

それゆえにメロディーは教会音楽の影響を強く受けていて、どちらかと云うとヨーロッパ的にも聴こえます。ハーモニーはボサノヴァのように少し複雑な のですが、「ミナス特有の青くて高い空」を反映して「雲の上を浮遊している」ように感じられませんか。リズム面では鉱物資源の発掘作業に使われたアフリカ 系の人たちが持ち込んだ強力なリズムが伝えられています。それらの要素がブラジル特有の「混血」をしていき、ミルトンたちに代表される音楽が60年代後半 に生まれたものと思われます。

その後アメリカのジャズマンたちもそのサウンドにとても興味を示して、アメリカのレーベルからもミナスのアーティストの作品がリリースされていまし た。それらが日本へも入って来たのが70年代のこと。個人的にはその頃にミルトンのアルバムを聴いてブラジル音楽に心を奪われてしまいました・・・

ミナス・サウンドと呼ばれるその音楽は、とても耳ざわりが良くて、気持ちの良い音楽が多いですが、よりヨーロッパ音楽に近いものから、強くアフリカ 音楽の影響を反映しているものまで、色々なタイプの音楽がミナス・サウンドの中にも存在しています。それらの魅力に惹かれてしまい、ミナス・ジェライスま で足を運んだ日本人もたくさんいます。かくいう自分もその一人です！

ミルトン・ナシメント(Milton Nascimento)のCDは日本国内でも比較的容易に入手出来ると思います。私のお店、MPB-storeでも販売しています。そしてトニーニョ・オ ルタ(Toninho Horta)、ロー・ボルジェス(Lo Borges)、べト・ゲヂス(Beto Guedes)、フラヴィオ・ヴェントゥリーニ(Flavio Venturini)、ヘナート・モタ(Renato Motha)，アフォンシーニョ(Affonsinho)、そういった名前で検索するとたくさんの情報が手に入ると思いますし、日本語解説付きの国内盤 CDもたくさん流通しています。

先日仕事で茨城に３ヶ月ほど滞在していた40台のブラジル人男性が日本のコンビニでの買い物の最中に、いきなりミルトンの音楽が流れて来て「懐かしさのあまり泣きそうになったよ・・・」と云ってました。

70年代始めに彼らの多くが集まって作った作品『Clube da Esquina』(街角クラブ)は、40年近く経った今でもその輝きを失ってはいません・・・

ぜひ皆さんも機会があったらミナスの音楽家たちの素晴らしい作品に触れて下さい。中南米音楽/MPB-storeでも入手出来るCDがたくさんありますので、どうぞお問い合わせ下さい。ケペル木村が責任を持ってお答えいたしますし、南阿佐ヶ谷の店頭では試聴も出来ます。

どうぞ宜しくお願いします。

ケペル木村

http://www.mpb-store.jp