ブラジルの車事情について

登録日:2013年4月17日

ブラジルコンサルタントの萩島です。今回はブラジルの車事情について、紹介させて頂きたいと思います。

私が勤務していた会社では日本人駐在員は車を会社から貸与してもらい、自分で運転して会社まで通うことになっていました。

私は日本で免許は持っていたものの、普段は電車で通勤していたため、ほとんど車を運転することが無くペーパードライバーでした。しかも、ブラジルは左ハンドルが主流であったため、ほぼ素人のような状態で運転を始めなければなりませんでした。

また、ブラジルは国際免許が使えず、ブラジル独自の運転免許を取得しなければならないため、教習所に通い、試験を受ける必要がありました。

試験に備えて路上教習を受けたのですが、久しぶりの運転が左ハンドルというだけで焦るのに、さらに試験がマニュアル車で行われるため、教習所の車もマニュアル車であり、まともに車を前に進められなかった記憶が残っております。

何とか試験に合格し、免許を手に入れたのですが、実際に運転するようになってからも試練が続きました。それは、毎日の通勤の大渋滞です。ブラジルの自動車市場の規模は2012年に約380万台を販売し、世界第4位の規模となっており、特に私が暮らしていたサンパウロ市は一日に2,000台ずつ車が増えていると言われており、朝と夕方のラッシュが社会問題にまで発展しております。

しかも、ただ渋滞に悩まされただけでなく、ブラジル人の気質にも悩まされました。普段はとても気さくで明るく良い人たちなのですが、車に乗ると人間が変わるのか、皆とても激しい運転をするのです。例えば、前の車と1車両分の車間距離を空けたら間違いなく横から割り込んできます。そのため、どの車も車間距離はかなり狭く保った状態で運転しています。ウインカーなどもあまり出さないので、集中していないとかなり危険です。また、信号待ちしていて、3車線ある一番右の車が左折しようと前に出てくることも珍しくなく、運転マナーはあまり良くないです。しかし、不思議と事故は多くなく、皆うまく対応しており運動神経の良さを感じました。F1ドライバーのアイルトン・セナやバリチェロなど有名ドライバーを輩出しているのも何となく納得出来た気がしました。

サンパウロ市で運転する際に注意しなくてはならないのは、車間距離だけではありません。

市内には至るところにスピード違反を取り締まるネズミ捕りのカメラが設置されており、私の友人は70km道路を74kmで走ったというスピード違反を通知する手紙が届き罰金を払ったと話していました。また、このカメラはスピード違反を取り締まるだけでなく、市内への車の乗り入れについても監視しています。先述しましたが、サンパウロ市は日に日に車が増えるため、渋滞が問題となっているため、車のナンバー毎に乗り入れ規制をしております。「ホジージョ」と言われているこの規制は、例えばナンバープレートの末尾の番号が1か2の車は月曜日の朝と夕方のラッシュ時間帯は車を運転してはならないと決められているのです。私の車は末尾が5番であったため、水曜日に規制がかかっておりました。夜は20時以降であれば運転できたので、普段は遅くまで仕事をしていたため、あまり問題を感じなかったのですが、朝は7時までしか運転が出来なかったため、かなり早い時間に起きなければならず、毎週水曜日の朝は憂鬱でした。

一般の市民は朝早くに出勤して対応していましたが、裕福な家庭では「ホジージョ」対策のために、車を二台購入し上手く使い分けている人もいました。このようなことをしたら、さらに車が増えてしまうのでは・・・とも思いますが、根本的な問題として、サンパウロは一方通行の道が多いなど、都市設計の部分から見直さないと渋滞が緩和されないと言われており、今後のインフラ整備へ期待が掛かります。

萩島貴(はぎしまたかし)
1982年神奈川生まれ。法政大学社会学部卒業。
2005年松下電器産業株式会社(現パナソニック)に入社後、国内マーケティング本部にて白物家電の商品企画、販促、マーケティング戦略立案、ブランド変更プロジェクトに携わる。
2009年パナソニックブラジルにて、白物家電新規導入、ブラジル工場誘致プロジェクトに携わる。
2012年同社退社後、国際協力NGOにて、震災復興に従事した後、ブラジルコンサルタントとして独立。アヴァンテ株式会社を設立し、現職。
 


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